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インタビュー・コラム「彼は島の救世主」副業人材に周防大島のピンチを救われました

INTERVIEWS

「彼は島の救世主」副業人材に周防大島のピンチを救われました

松嶋 匡史さん(株式会社瀬戸内ジャムズガーデン代表取締役社長)

2018年9月より「YOSOMON!」を活用して副業者を受け入れた、株式会社瀬戸内ジャムズガーデン代表取締役社長の松嶋匡史さん。

WEBマーケティングの現状分析から戦略提案を担うマーケティングアドバイザーを募集し、大手通信会社キャリアのマーケティングチーフを勤めるAさんを副業人材として登用。2018年9月からプロジェクトを開始し、その活躍ぶりは期待以上だそう。

現在の心境やAさんとはじめた事業について、松嶋さんにお話を伺いました。( 参考 求人ページ:「こだわりのジャムを通じて共感の輪を広げる!WEBマーケティングアドバイザー募集!」https://yosomon.jp/project/572 ) jam3


はじめは副業に対するネガティブなイメージを捨てきれずにいた


ーーー今はAさんという人材と無事マッチングし、現在プロジェクト進行中の段階ですが、 そもそも当初はどのような経緯で、YOSOMON!にて副業人材の募集をかけようと思われたのでしょうか。

当初は社長の右腕になるような人材がほしいと思っていたんです。しかし、かといってまるまる一人雇えるほど余裕もなかったですし、それに毎日出社していただいてもそんなにやることがあるわけでもないですし(笑)

そういう意味では、欲しいタイミングだけ一緒に関わってもらえる副業人材を受け入れるというのはちょうど良い案配の手段だなと当初は思いましたね。

我々にはWEBマーケティングの知識が無かったので、相談にのってもらえるような人が欲しいと思っていました。 そういった人材はなかなか地方ではとれないですから、お話をいただいた際は、YOSOMON!を通して外部からの副業人材を受け入れるのもいいなと思いました。

ーーー外から副業人材を受け入れるにあっての不安はありませんでしたか?

ありましたね。副業というと、どうしても副収入だとかお小遣い稼ぎというイメージがあって、そういう方々と我々の感覚はマッチするのかなと。そこだけが唯一心配な点でした。

良い人が来たらいいなとは思っていましたが、はたして「副業」という言葉でそういった人材が来るのかなとも思っていて、正直半信半疑でした。

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共感によるマッチング。コンサルとの違い


ーーー当時のAさんの第一印象はどうでしたか?

彼の第一印象は「ビジネスライク過ぎない」という印象でした。これはフィーリングになってしまうんですが、ファーストコンタクトの時もある程度お互いをさらけ出しながら話して、良い印象は受けましたね。 当初思っていた、副収入やお小遣い稼ぎといった目的の人とは違う感じがしました。

私たちの会社がやっていることに共感して応募して下さった方だったので、この人になら安心して任せることが出来そうだと、そう感じました。

ーーー副業人材を選ぶときに大事にしていた点はどんな事でしたか?

Webマーケティングの知識があれば良い、くらいの感じで特に技術的な面は重視していませんでした。経歴よりもどれだけ関わってもらえるのか・どのように関わってもらえるかが重要だと感じています。

副業ですと、実際に週に1度(※プロジェクトによる)会っている間の時間しか割いて頂けない訳で、本業をやっている時にこっちのことまでは考えて頂けません。関われる時間に限りがあるからこそ、人材側の意識がどの程度なのかが受け入れ企業の満足度に大きく影響すると思います。

例えば、こちらが質問したことだけに答えてくれるようでは、あまり意味が無いなと思いますこちらの内情まで分かった上で、人材側からも積極的に提案して頂けるような、そんな方を探していました。

あとは会社のカラーもあると思うので、そういったカラーに合う人・もしくは合わせられる人ですかね。能力がいくら高くても馬が合わなきゃ。Aさんがそういう人材だったんです。

いかに取捨選択しながら、うちの会社のコンセプトに合ったマーケティングをしていくかが重要であって、単純に物が一過性に売れたら良いというものではないんです。

これは外注のコンサルとは異なる点だとも思うのですが、こういった部分も含めて会社の理念や思いをご理解いただけている方に、つぎの一手を考えて頂けるのは本当にありがたいです。

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突然のアクシデントと、影ながら島を救った副業人材


ーーーさて、ここからが本題ですね。実際にプロジェクトがスタートしてみて、成果や、松嶋さんご自身や企業にどんな影響があったかを教えてください。

それが、元々はHP作成などを含め、今後企業としてどう市場にアプローチしていくか等といった全体的なWEBマーケティング戦略を立ててやっていこうという予定だったのですが、見通しを立ててさあこれからという時に、私たちジャムズガーデンの本拠地である周防大島で大規模な橋の事故 ※1 が起きたんです。

事故の影響は大きく、島全体で長く断水の被害も出ていた状況下で、マーケティングをがらっと変えなければならなくなってしまった所を、がっつりAさんに一緒にやって頂くことになりました。

※1 周防大島 橋の事故

10月22日未明に周防大島と本州との唯一の架け橋、大島大橋に大型貨物船が衝突し、大島大橋が大きく傷つきました。車/人の 往来はもちろんのこと、水道/通信ケーブルなど、橋は重要なライフライン。橋の損傷は激しく通行は2トン以下のクルマに制限 され片側交互通行、さらに風速5メートルで完全通行止めとなるような橋になってしまいました。また、水道管が橋を通っている こともあり、現在も、島全体で断水が続いています。観光など周防大島の主力産業にとって、壊滅的な被害が継続しています。

事故②

https://peraichi.com/landing_pages/view/161p3

具体的には2018年の9月からプロジェクトがスタートしてWEBマーケティングの戦略を立て始め、10月に入りそろそろマーケティングを実際にやっていこうという矢先に事故が起きました。

その後の立て直しは、ジャムズガーデンとして島の物産を集めたものをパッケージにして売りたいと思っていた所を、Aさんが特設サイトを立ち上げ、そして私がこれまで交換してきた2000人分の名刺データをクラウド上に登録して頂き、宣伝のためのメルマガを一斉配信して下さいました。これらの一連の取り組みをAさんがリードしてくださいました。

ーーー想定とは全く違うことが起きて、ある種緊急対応の部分もAさんが入って一緒に進めてきたんですね

本当に待っていても売り上げが一向に立たない状態だったので、なんとか通販に頼るしかありませんでした。

通常時は毎月150件の発送をしていたのですが、橋の事故の影響で直営店の売り上げが0になってしまうので、通販の発送の目標を従来の7倍の1000件に変え、特設WEBサイト「頑張ろう!周防大島」(https://peraichi.com/landing_pages/view/161p3) を立ち上げていただきました。

我々はとにかく製造を再起動させる事に注力しなくてはいけなかったので、WEBマーケティングにかけられる余力が全く無い中でAさんに手伝って頂きました。

サイトの立ち上げに加えて、SNSでの情報の拡散方法を教えてもらったり、一緒に情報発信をしていただいたりしたおかげで、11・12月で通販の発送数はトータル4022件(!)にも上りました。目標件数の倍以上の件数です。

それだけあって、結局会社も経営危機的な状況に陥らずに済みましたし、地域の産品をつくっている業者さんもこれで助かって。本当に救世主です。

ーーー「頑張ろうセット」 ※2 は、島のその他の事業者さんの売上にも貢献したんですね

そうですね。おかげで島の事業者はなんとかやりくりできた、救世主です。 全部が全部WEBやメルマガだけで来てくれている訳では無いですけれども、多くの方がWEBサイトを見てくれたと思います。

※2 がんばろうセット ・・・地域の産品をまとめた通販のセット商品

https://shop.jams-garden.com/products/list.php?category_id=20

がんばろうセット

1月いっぱいまでは特殊事情みたいなところがあるので、当初予定していたマーケティング改革での成果はまだこれからやっていく所です。

社内では、Aさんから従業員にWEB上での写真の見せ方だとか、サイト内の構築、例えばこの辺は人の目が一番に行くからこう考えなきゃいけないだとか、そういうところの教育までしていただいたりもして、社内の人材のレベルも上げていただいています。


会社の理念が分かった上で付き合って貰える貴重な人材


ーーーまだプロジェクトは終了していませんが、YOSOMON!で副業人材を受け入れてみて、いかがでしょうか。

当初は副業人材に対するイメージがネガティブだった中で、私たちがずっと手の届かなかったところをAさんにやって頂けていて、本当に助かっています。こういう所もやりますよといったようにAさんから言って頂いたりもして。素敵な人材を紹介して頂いたなと思っています。

ーーープロジェクトの今後について、そしてジャムズガーデンとして今後取り組んでいきたいことをお伺いしてよろしいですか?

会社の理念が分かった上で付き合っていただける、そういう人材ですので、今後ともずっと末永く付き合って行けたらと思っています。 WEBのマーケティングだけではなく、どういう時期にどういう会社・店として提案してやっていくか。見せ方だけでなく本質的なところから関わって頂けているのは本当にありがたいです。

半年間限定と言わず、うちの会社のブランディングから継続してやってもらえたらいいなと思っています。

今後のジャムズガーデンの展望としては、ある程度地域を越えてもっと事業を拡大すべきなのか、それよりももっと地域に残って地域の中で様々な事業も含めてやっていった方がいいのかを選択していくような、そういう時期になってきているので、そういった経営的判断についても相談したいと思っています。47065045_1948082441926873_890930470940835840


チャレンジしない方がリスク


ーーー松嶋さんはYOSOMON!を他の人(企業)にオススメしたいと思いますか?

もちろんです。とても面白い取り組みだと思いますし。地域内にこういった人材はなかなかいない。そういう人材がいたとしても、一社では一人雇えないと思うんですよね。

やりたいけどできない、どうしようもないって会社でしたら、今はこうして人を繋いでもらえる仕組みがある。 本当に地方企業でも(こういう人と一緒に仕掛けることで)色んな事にチャレンジできる時代になってきたなというのを感じる動きですね。

ーーーそういった企業さんにメッセージをお願いできますか

副業と一口に言っても、お金目的ではなく地域に貢献したいといったような理由で取り組んで下さる方って、今の時代増えているんじゃないかなと思っていて、そういう共感で地域に関わってくれる人達を積極的に地域に取り込んでいくことによって地域って実は爆発するくらいまだまだ凄い可能性を秘めているんじゃないかと思うんです。

ですから、オススメしたいのはまずはチャレンジすること。YOSOMON!の副業人材は受け入れも期間限定ですし、費用面でのリスクも高くありません。 それを考えたときにチャレンジしないって、それ損じゃないのって。そこまでリスキーだとは全く思わないので、チャレンジしないほうがリスキーなんじゃないかなと思っています。

ーーーありがとうございました!素敵なお言葉をありがとうございます。

プロジェクトはまだ続きますが、今後も引き続き、宜しくお願い致します!

PROFILE

松嶋 匡史さん(株式会社瀬戸内ジャムズガーデン代表取締役社長)

1972年、京都府生まれ。山口県周防大島町で手作りジャム・マーマレード専門店「瀬戸内ジャムズガーデン&ファーム」を経営。2003年に個人事業として創業し2011年に株式会社化。カフェや果樹栽培も手がけ、主催する「春のジャム屋まつり」は島を代表する名物イベントの一つとして年々規模が拡大中。過疎の島に大きな変革をもたらした事業モデルは、日本全国はおろか海外からも視察が訪れるほどで、起業、地方創生における講師としても活躍中。

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