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インタビュー・コラム地域企業が副業者を受け入れてみて思うこと「中途採用1人より副業者5人の方が効果的」

INTERVIEWS

地域企業が副業者を受け入れてみて思うこと「中途採用1人より副業者5人の方が効果的」

伊藤 俊さん(株式会社オーテック 専務取締役)

2018年4月よりYOSOMON!で2名の副業者を受け入れた、宮城県女川町の株式会社オーテックの伊藤専務にインタビューを行いました。

(求人ページはこちら:https://yosomon.jp/project/640)

副業者を受け入れる前、受け入れた後、現在感じていることをお聞きしました。

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YOSOMON!開始前の心境

――YOSOMON!の紹介を受けた時、最初はどう思いましたか?

その数か月前に中途採用を考えていて、マネジメントができる人を採りたいと思っていたんです。でも、果たして移住してきてくれるのか?それはちょっと厳しいよなって思っていました。

そうしたタイミングでETIC.からそういった業務を副業案件で出来ます、どうですか?と。「地域への移住を伴う転職は敷居が高い。副業であれば3か月やってみて、ダメなら解約することも可能です」って言われ、確かにね、と思ったんです。

都会から来る人への給与も十分な額を払うのは難しいし、その人が地域や会社のことをよく知らずにいきなり移住するのは敷居が高いよね、と思っていたので。

あとは、社内的にも外から来た人がいきなり上司になる、というのはやっぱり拒否反応があります。そういう意味で副業者の方が気が楽かなと。プロジェクトがうまくいかなかったら引き上げられるし、毎日いる訳でもないですし。

――副業者を受け入れることに、不安はありましたか?

開始前は副業で本当に大丈夫かな、成果は上がるかな、という不安はありましたね。あとは副業者が会社になじんでもらえるか、従業員に受け入れてもらえるか、という不安もありました。

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プロジェクト開始後の変化

――では、実際にプロジェクトが始まってからはどうでしたか?

最初の二か月は、やっぱり社内的には「この人は何だ?」「何をしてくれるんだ?」という受け止め方でしたね。今回のプロジェクトが経営層からの発案ということもあって、従業員としても不安があったのでしょう。

――どういうきっかけで変わったのでしょうか?

3か月目にターニングポイントがありました。こちらが悩みを言い、それに対して副業者から答えてもらえる、という積み重ねの中で、お互いの人となりが分かってきたんです。 また自主的にランチ会を開いてくれたり、飲み会に一緒に出てくれたり、というのが非常に大きなポイントでした。

――副業者は具体的にどのような業務を行ったのですか?

初めはとにかくヒアリングをしてもらいました。社内の人間一人一人と時間をとって、じっくりと今困っていることや、悩み、不満を聞いてもらいました。 その後、ヒアリングした内容を元に、社内の課題を明確化して、文書化していただきました。

今回の案件では、事業所ごとに男性1名、女性1名の副業者を採用したのですが、両性の目線があるのも大きかったですね。男性だけに言われるよりも、女性の目線も入っている方が、従業員の納得度合いは高かったです。

課題に対する打ち手としては、一つの事業所では社内研修を実施して頂きました。仕事のやり方研修として、自分が行う仕事への意味付けですとか、効果的なコミュニケーションの手法ですとか、そういった内容です。

もう一つの事業所では、月に一回様々な課題について話し合う会議を設定し、その場でアドバイスをして頂く立場として入ってもらっています。業務管理の見直しや、評価制度の運用等について、改善策の進捗確認や方向性の提示をして頂いています。

――従業員の方たちと副業者はどのような関係性なのでしょうか?

従業員にとっては、何かある時に相談できて、しかも絶対に怒られない相談相手、という関係ですね。経営層に言えないような不満も、外の人にならぶっちゃけて言える、という状況ができました。

また、副業者の方が一般的なコンサルタントと最も大きく違うのは、「従業員目線に立って悩みを聞いてくれる存在である」というところですね。コンサルタントの場合は、「お金を払うと綺麗な提案を書いてくれる存在」、という関係性になってしまいますが、YOSOMON!の副業者の場合は金額目当てではなく、企業が抱える課題に興味があって参画してくれているのが非常に大きいですね。

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プロジェクトの今後

――とても良い関係が作れているとのことで、ほっとしています。今回の案件は2018年9月までということでしたが、今後に関してはいかがですか?

従業員の受け止め方次第で、続けるか、辞めるか考えようと思っていたんですね。そうしたところ、従業員側から「ぜひ続けて欲しい」という要望が出たので、もう半年契約を伸ばすことにしました。今後も中長期的に当社に関わって頂き、社内の課題解決を支援して頂く予定です。

なお、当初の契約では人材への報酬は月5万円で設定していたのですが、これはやはり安すぎるということで、人材に対して、次の半年の業務内容とかかる工数を考慮して金額を提示して欲しいとお願いし、別途契約しています。

――それは本当に良かったです!副業で関わった方が継続して関わり続けていくことは、地域にとっても非常に良いことですよね。まさしく昨今言われている「関係人口」の一つの在り方なのかなと思います。

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YOSOMON!で副業者を受け入れてみて感じること

――今回オーテック様では副業者を受け入れて良い効果があったとのことですが、とは言え、一般的な地域の企業様は副業者ではなく、やはり正社員が欲しいというところも多いですよね。

企業が人材に正社員として毎日居てもらわないと困る、って考えるのは、その人に今困っていることの解決を全て任せたいと思っているからなんですよね。でも、実際に全て任せるのは無理があるんです。

何十年という歴史がある会社で、何十年と勤めている従業員が居る中に、突然新しい人を入れて、全ての課題を解決してくれっていうのはやはり難しいです。将来会社の経営層、社長になるっていう人を採るならいいかもしれないですが、従業員レベルでそういう人を求めるのは難しいです。

また地域企業での中途採用は、よほどの覚悟を持って企業が受け入れてあげないと、人材は定着しないですよね。地域に根付くっていうのはとても難しいことです。その覚悟を持たずに、自覚なく人が欲しい欲しいと言っている会社に人は絶対にこないし、来ても定着しないんです。

だったらそれよりも、今いる従業員では足りない部分のスキルを持っている人に副業でサポートに入ってもらった方が、絶対にお互いのためになるんじゃないの?それがYOSOMON!じゃないの?って思います。

仮に会社に5個の問題点があったとして、1人1個ずつでいいからそれを解決できる5人を副業で雇えばいいと思うんです。それが月5万円で5人で25万円。こっちの方が、25万円で1人採用するよりも効果的です。全てを解決できるスーパーマンなんていない、と割り切ることで、答えが見えると思いますよ。

――なるほど。では副業で可能そうな案件は他にどのようなものがあると思われますか?

そうですね。例えば社員教育をしてもらうというのは有効だと思います。営業をしてくれ、ではなくて、営業マンを育ててくれ、という案件ですね。 うちの場合ですと、大き目のプロジェクトの品質管理をしてくれる人。定例会議に参加して頂き、その人から見た時のリスクとか、適切な手法などをアドバイスしてくれる人は欲しいですね。

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YOSOMON!を検討する企業へのメッセージ

――ありがとうございます。では最後に、YOSOMON!を導入してみたいと考えていらっしゃる企業さん向けのメッセージをお願いいたします!

YOSOMON!って凄い面白いと思います。うちにとってはものすごい有意義でしたし。 やってみようかなって思ったら、まずはやってみたらいいと思いますよ!

失敗しても痛くないし、成功したら効果がありますから。高いコンサルを依頼するぐらいならYOSOMON!で色んな人と巡り合う方がいいです。

自分たちの会社のことを考えて応募してくれるわけなので、例え契約に至らなくてもそういう人と会うだけでもいいからぜひ活用してみてください。っていうのがメッセージかな(笑)

――ありがとうございます!非常に嬉しいお言葉です。

まあね。ぜんぜんお世辞でもなんでもないからさ(笑)

PROFILE

伊藤 俊さん(株式会社オーテック 専務取締役)

福山雅治と同い年の1968年雄勝町生まれ(現石巻市雄勝町) 1991年3月に東北学院大学文学部を卒業後仙台市内のハウスメーカーに就職するが、1993年9月に女川に設立された現在の会社にJターンし2014年6月に専務取締役となる。 現在は、町の復興のため、女川に来たくなる楽しい仕掛けづくりに奔走中

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